合併の夢はどこにいったの?

穂積市長が合併12年間を担当しました。「今 まで通りを変える」と主張し、多くの市民が期待を寄 せましたが、3期目が終了します。「自治・改革」を 唱えるものの肝心な新城市をどのように変えるのか見 えないまま、人口は想定通り減少を続けています。 

人口減少はいつまでも続く?

現在(2016.10.1)の人口は、47,392人です。 合併時(2005.10.1)には、52,924人でした。合併11 年で、5,532人(年平均約500人の人口減)が減少しま した。合併後の総合計画策定時に、「何も手をうたな ければ人口減少は止まらない」と言っていましたが、 ほぼ推定どうりの人口減少です。結論から言えば、有 効な手はうたれていません。 

消滅可能性都市に選ばれた?

新城市は、愛知県下の市で唯一、消滅可能性 都市と言わています。消滅可能性都市の定義(日本創 生会議による)は、2010年から2040年までに若年女性 (20~39歳)人口が5割以下に減少すると予測された 自治体ということです。大変深刻な事態にもかかわら ず、新城市独自の若者定住対策がみえません。

補助金・箱物行政はダメでしょ? 新庁舎、新城駅前開発、新東名バス?

多くの市民が、住民投票まで持ち込んだ新庁 舎は、文字どおりの典型的な箱物建設でしたが、最後 は穂積市長の「見直しはやった」で押し切られました。 一期目マニフェストで見直しを示唆した大善寺前の25m道路は、そのまま事業が進められました。いまだ に、事業費10億円の成果はみえません。 新城駅周辺開発は、合併特例債の期限が迫ってきた ため、暫定事業として、駅 前開発の着手を決めました。 地方創生の国の支援に飛 びついた「新東名バス」は、 1便あたり平均乗車7人程 度(今年7月実績)で、市 民の不信は広がるばかりです。

困った困った小学校が廃校に?

小学校は廃校が進みました。鳳来地区では、 山吉田小と黄柳野小が統合し黄柳川小に、鳳来寺小、 鳳来西小、海老小、連谷小が鳳来寺小に統合されまし た。作手地区では、菅守小、協和小 が廃校になり、巴小と開成小が作手 小に統合されました。このまま人口 減少(P2グラフ参照)が進めば、 さらに周辺部の統廃合で、過疎化が 加速されます。 

市内の働き場所を何とかしないと?

商業統計調査結果では、H19年598店舗(従業 員数3134人)がH26年433店舗(従業員数2433人)に 減少しています。第一次産業も高齢化が深刻で、存続 が心配です。新城市の地盤を支える産業の衰退が、明 らかに市内の働き場所を減少させています。第一次産 業の衰退で、雇用場所の喪失とともに、多面的機能の 喪失という二重の問題が生まれています。 

観光地に観光客がなぜ少ない?

新城・設楽地域への観光客数は、H4年の約550 万人をピークに減少が続き、H17年に約400万人、 H26年には約300万人にまで落ち込んでいます。 H27年には、「もっくる新城」効果もあり約400万 人と持ち直しましたが、「もっくる新城」来場者数約 110万人を除けば、300万人を下回る現実があり、長期 減少傾向に歯止めがかかったとは言えません。貴重な 観光資源である「鳳来寺山」「湯谷温泉」などの活用 も進まず、成り行き任せのような観光政策では、観光 産業による雇用は期待できません。

役所の改革は言っただけ?

穂積市長は、一期目マニフェストで、「役所 の改革」を宣言しました。「隠しごとのない役所」 「行政の非効率をなくすこと」が、自治活動を豊かに すると主張していましたが、新庁舎建設の混乱、国の 補助金に振り回される姿などをみれば、肝心な役所改 革に踏み出す前に3期12年が終了しそうです。 

産科再開をやると言ったのに?

穂積市長は、医療法人・葵鐘会から、医師2 名を年1億2千万円で派遣を受ける前提で動いていま したが、子育て世代の声を聞かないまま進めようとし たため、納得を得られずいつの間にか「産科再開」は 消えてしまいました。見切り発車にならなくて幸いで した。市内での出産を求める声はあると言っても、将 来展望がないままの提案は、あまりにも無責任でした。 市民病院では、産科医師の充 実だけでなく、全体の医師不 足が解消されていません。 「頑張ります」とは言います が、具体的に頑張る方向がみ えません。

自治区予算の使い方が不思議?

合併後、約7年後、地域自治区(2013年設置) が発足し、「自治」活動がスタートしました。平成29 年度の自治区予算は約1億2千万円にもなっています。 市内には10自治区が設置され、各々の自治区が、自 らの判断で事業予算を決め、執行していく仕組みとなっ ていますが、予算ありきの感がぬぐえません。 「自治」の出発点に疑問の声は消えません。地域を 変えるために「自治」意識が大事だと思いますが、現 時点では「自治」と銘打った予算消化型活動が先行し ています。このままでは、せっかくの自治区予算が地 域活性化につながりません。少しでも早い方向修正が 必須です。

若者は若者議会だけじゃないよ?

世間では、若者対策としての新城市若者議会 が注目を集めて、全国から議会の視察も多数受けてき ました。今年で若者議会は3期目となります。 平成29年度には約1000万円を予算化し、若者議会が 運営されています。その予算で定員20名以内の若者委 員が、まちなか情報センター、図書館などの改修を進 めてきましたが、根本的な若者対策に踏み出している とは言えません。 新城市若者条例では、「若者が活躍するまちの形成 の推進のために必要な施策を策定し、及び実施しなけ ればならない」とうたっています。現在の若者議会の 委員への対応だけでなく、市内の若者全体への雇用対 策、定住対策などの重要な政策が欠けています。 

産廃問題から目をそむけていいの?

市長選後、産廃問題が表面化し、その後3年 間、八名地区を中心にした産廃問題解決に穂積市長の 姿が見えませんでした。穂積市長は、当初、産廃業者 からの問合せに「進出には賛同できない」と返答した ものの、その後不手際が重なり、競売で産廃業者が土 地を取得し、現在は操業が始まっています。 現在でも、地元住民を中心にした反対運動が、行政 区を巻きこんでいますが、市長はいまだに現場に足を 運ぶこともなく、本気で解決させようという意志が感 じられません。

地方創生のチャンスを活かせるの?

平成29年度の地方創生関連予算は、約1兆8000 億円となっています。国も地方の衰退に歯止めをかけ るために本腰を入れて、様々な支援メニューを示して います。全国の自治体があの手この手で、支援に群がっ ています。 新城市が手を挙げたのが、「新東名バス」「若者議 会」「グローバル人材育成」「地域計画策定」などで すが、成果に疑問符またはいつ成果にむすびつくかわ からない政策ばかりです。 産業・観光振興など新城市のあり方を大きく変える 政策に大胆に切り込むしかないのですが、現状からは、 何をしたらいいかわからないまま、右往左往だけして いるようにみえるのです。 

エネルギー自給は時代の流れ?

時代はエネルギーの地産地消に移っています。 経済成長を支えた化石燃料による地球温暖化の進行、 原子力発電の危険性などにより、再生エネルギーによ るエネルギーの地産地消が脚光を浴びています。 エネルギーの地産地消が、産業を起こし雇用も産ん でいます。木質バイオマス・水力・太陽光などの再生 エネルギーを活用してまちづくりを始めた群馬県中之 条町、福岡県みやま市などは、自治体自らが売電会 社を立ち上げ、市外に出ていた電気代を市内で循環 させています。「可能性を検討する」と結論を先延 ばししているだけで、 この流れに乗ろうとし ないまま好機を見過ご してきました。